耳鼻咽喉科、アレルギー科

名古屋市千種区日和町1-1-4

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舌下免疫療法

対象年齢

スギ花粉症舌下免疫療法
12才以上。(6月以降に5才以上に拡大される予定)

ダニアレルギー舌下免疫療法
5才以上。

舌下免疫療法を行えない方

高血圧でβ阻害薬を使用している方。
妊娠している方、今後妊娠を予定している方。
重症喘息を起こすことがある方。(例:1秒率が70%未満になる方)
全身的な重い病気を有する方(悪性腫瘍、自己免疫の病気、免疫不全症、心臓の病気、慢性感染症)。
ステロイド薬を内服したり、抗がん剤を使用する方。
かぜなどの急性感染症にかかっている方。

その他、舌下免疫療法をしてはいけない時は、
喘息発作や咳などの喘息の症状があるとき。
口の中のかゆみなどの症状がひどいとき。
歯を抜いた後など、口の中の手術、傷や炎症があるとき。
かぜや体調が悪いとき。
舌下投与を長期に中断した後、再開するとき。

舌下免疫療法をご希望の方は

★お電話でのご相談は受け付けておりません。★
一般診察をうけ、直接医師にご相談下さい。

★一連の流れ★
初回は、問診、診察、アレルギー検査を受けてない場合には採血などの検査、説明文書などをお渡しいたします。
次回再診日までに、舌下免疫療法の治療内容、治療期間、副作用(まれにアナフィラキシーショックなどをきたす可能性)、治療効果などを充分にご理解の上で、舌下免疫療法を行うかをご検討いただきます。
次回再診時には、再度ご本人の意思を確認。ご希望の方には同意書にサインをいただいた上で、院内で舌下免疫療法を実施。30分間は院内で待機。副作用がなければご帰宅。
以後は連日自己 にて舌下投与。少なくとも1ヶ月に1度は定期再診の上、診察、処方を行います。

舌下後、少なくとも2時間は激しい運動や入浴は避けること。
投与直後の食事、特に飲酒は避けること。
治療には長期間を必要とします。2年以上、可能なら4年以上の治療が必要です。
舌下免疫療法により、すべての患者さんが完全に治るわけではありません。治療効果には個人差があり、約6~7割程度の方に何らかの改善が得られておりますが、約3~4割程度の方には、効果が認められないことが指摘されています。

※詳しくは下記をご確認下さい。

舌下免疫療法とは?

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに「アレルゲン免疫療法」があります。
「減感作療法」や「脱感作療法」とも呼ばれています。
これまでアレルゲン免疫療法は治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていました。
近年、皮下ではなく舌の下(裏)に治療薬を投与する方法が登場しました。これが「舌下免疫療法」です。

※アレルゲン免疫療法とは
アレルギーの原因となる「アレルゲン」を少量から投与し、体を慣れさせることでアレルギー症状を和らげる治療法です。
アレルギー症状を治したり、長期間にわたり症状をおさえる可能性があります。治療は年単位で長期にわたります。

スギ花粉症の舌下免疫療法

スギ花粉症の免疫療法とは

スギ花粉抽出物を安全な低量、体内に入れ安全性と反応を見ながら少しずつ量を増やし体質を変えていく治療です。

スギ花粉症の免疫療法のよくある質問

舌下治療法イラスト

Q : どのように舌下免疫療法を行うのですか?

A : スギ花粉を抽出した液状の薬を舌下に垂らします。
そのまま2分ほど舌の下(裏)置いておき、飲み込みます。
まず毎日少しずつ投与量を増やしていきます。7日目あたりから一定量を毎日投与します。
*1回目は必ず医療機関で行い、2回目以降は自宅で行います。

Q : いつから治療を始めるですのか?

A : 花粉の飛散期間以外の6月~12月に治療を開始します。
花粉の飛散期間中では効果が見込めないなので、飛散が始まる3か月以上前から開始することをおススメします。
※アレルギー検査を行い、スギ花粉症と確定診断がついてから治療を開始します。

Q : 通院はどうなるのですか?

A : 毎日の通院は必要ありません。
しかし定期的な通院は必要です。治療開始後しばらくは2週間ごとに通院していただき、安全性に問題がなければ月に1度の通院となります。

Q : 薬にはどんな副作用(副反応)がありますか?

A : 自然界にあるスギ木の花粉から薬用に成分抽出されているため、薬害は無いと考えられます。
スギ花粉にアレルギーがある患者さんにスギ花粉で治療するので、スギ花粉を入れることによりアレルギー反応が起こる可能性があります。このような反応を副作用と呼ばず、副反応と呼びます。まれにアナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー反応を起こす可能性があります。しかし海外のこれまでの実績では重篤な副反応は極めて稀であり、従来の注射を用いた免疫療法より安全と考えられております。
軽い副反応はありますが、決して怖いものではありません。しっかり理解していただければ、安全に行えます。

Q : スギ花粉症の舌下免疫療法にはどのような効果がありますか?

A : スギ花粉症の症状の改善が期待できます。
*誰でも根治するわけではありません。根治しなくても症状を和らげ、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。

Q : スギ花粉以外の花粉症に効果のある舌下免疫療法はないのですか?

A : 現在(2017年時点)、日本で行うことができるのはスギ花粉のみです。
スギ花粉症への舌下免疫療法は2014年に保険適用となったばかりです。
今後舌下免疫療法が広く行われるようになれば他の花粉についても可能性が広がるかもしれません。

ダニアレルギーの舌下免疫療法

ダニアレルギー性鼻炎の免疫療法とは

2種類のダニの成分を含んだ薬を安全な低量、体内に入れ安全性と反応を見ながら少しずつ量を増やし体質を変えていく治療です。

ダニアレルギー性鼻炎の免疫療法のよくある質問

舌下治療法イラスト

Q : どのように舌下免疫療法を行うのですか?

ダニのエキスを含んだ錠剤(舌下錠)を舌の下(裏)に置きます。
錠剤はすぐに解けます。1~2分ほど置いておき、飲み込みます。
飲み込んだ後5分ほどはうがいや飲食はできません。
これを1日1回自宅で行います。

Q : いつから治療を始めるのですか?

A : アレルギー検査を行い、問題がなければいつでも開始できます。
スギ花粉症を合併している方は開始時期によって効果が薄い、安全性に問題があるなどの理由から治療開始時期を5~12月に限定いたします。
またご自身では気が付いていなくてもアレルギー検査を行うとスギ花粉症を発症していない予備軍の方が多くいらっしゃいます。
治療開始にあたっては必ずアレルギー検査を行います。

Q : 通院はどうなるのですか?

A : 毎日の通院は必要ありません。
しかし定期的な通院は必要です。治療開始後しばらくは2週間ごとに通院していただき、安全性に問題がなければ月に1度の通院となります。

Q : どんな副作用(副反応)がありますか?

A : 最も多いのが、痒み、違和感、腫れなどの口腔内の症状です。また、ダニアレルギー性鼻炎のダニを使いますので、くしゃみ、鼻みずなどのアレルギー性鼻炎症状も出やすくなります。治療開始直後から1か月程度までに集中しますが、短期間で改善していきます。

Q : ダニ以外のアレルギー性鼻炎への効果はありますか?

A : ハウスダストには効果があると言われています。
しかしそれ以外が原因となるアレルギー性鼻炎には効果がありません。

舌下免疫療法のよくある質問

舌下免疫療法と皮下免疫療法(減感作療法)の比較

 舌下免疫療法皮下免疫療法
投薬方法口に含む注射
治療期間2~5年2~5年
通院頻度少ない多い
維持量までの期間2~3週間2~6ヶ月
副作用極めて少ないまれに重篤
体への負担口に含むため痛みはない注射による痛み

Q : 舌下免疫療法はどのように治療を行うのですか?

A : 1日1回、少量の治療薬の服用から始まります。その後は少しずつ増量、高濃度に移行します。これを2~3年間にわたり継続します。
初めての服用は医療機関で医師の監督のもと行います。2回目以降は自宅で服用します。
毎日行います。うっかり忘れてしまう、様々な事情でできない日もあるかと思いますが、できる限り毎日行ってください。
間隔があくなど、服用をしたりしなかったりを繰り返すと、効果が期待できないだけでなく、安全性に問題があります。
いい加減に行うと、大きな問題となりますので、ご注意ください。
*皮下免疫療法の進め方
毎週1回の注射を約半年続け、その後月に1回の注射になります。
月1回の注射を3年以上継続していただきます。

Q : 投薬時間は決まっていますか?

A : 投薬時間はいつでも構いません。
初めての服用は医療機関で医師の監督のもと行います。2回目以降は自宅で服用します。
*副作用/副反応が出た際の対処がしやすいため、午前中の投薬がおススメです。

Q : 治療を開始する時期は決まっているのですか?

A : ダニアレルギー性鼻炎に対してはいつでも開始できますが、当院ではスギ花粉のシーズンを1~5月をなるべく避けております。
スギ花粉症を合併している方はスギ花粉の飛散が始まる直前や飛散時期では治療効果が薄く、安全性に問題があります。
またご自身では気が付いていなくてもアレルギー検査を行うとスギ花粉症を発症していない予備軍の方が多くいらっしゃいます。
中には治療開始後に発症するかたもいらっしゃいます。
治療開始にあたっては必ずアレルギー検査を行います。
スギ花粉症の発症の可能性が全くないと判断できればダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法はいつでも開始できます。

Q : スギ花粉とダニアレルギー性鼻炎の両方がある場合はどのように治療するのですか?

A : 安全性の問題から同時に行なうことは、勧められておらず、基本的にどちらか一方の治療となります。
将来的に安全性にメドがたてば、同時進行で治療を行う可能性もあると思いますが、現在は安全性を考慮して、どちらか一方の治療となるでしょう。
どちらの治療を先に行うかは、医師と相談の上、どちらにより悩まされているか、日常生活に支障をきたしているかで判断されればよいと思います。

Q : 舌下免疫療法は一生続けなければならないのですか?

A : 舌下免疫療法を4~5年行うことを勧めています。治療を止めても効果が持続すると考えられています。
少しずつ効果が高まっていくため、まずは2年をめどに開始し、効果のあるかたには4~5年の継続を勧めます。
終了して何年も経過すると、効果が薄れスギ花粉症が悪くなるかたがいらっしゃいます。その場合には、再度1~2年間の舌下免疫療法を行います。すると効果が元に戻ると考えられます。
注射の方法は、再度行う場合にも最初からやり直しとなり、時間がかかります。舌下免疫療法では再度行う場合も短期で行える利点があります。

Q : 舌下免疫療法は誰でも受けられるのですか?

A : スギ花粉症舌下免疫療法
12歳以上の方が対象となります。(6月以降に5才以上に拡大される予定)

A : ダニアレルギー舌下免疫療法
5才以上の方が対象になります。
高齢者の方は効果が弱くなる、アレルギー性鼻炎以外の鼻炎を合併しやすいのでしっかりと診察を受けてから検討してください。

Q : 舌下免疫療法を受けられない場合はどういった場合ですか?

A : 舌下免疫療法を行えない方は以下の方です。

  • 高血圧でβ阻害薬を使用している方。
  • 妊娠している方、今後妊娠を予定している方。
  • 重症喘息を起こすことがある方。(例:1秒率が70%未満になる方)
  • 全身的な重い病気を有する方(悪性腫瘍、自己免疫の病気、免疫不全症、心臓の病気、慢性感染症)。
  • ステロイド薬を内服したり、抗がん剤を使用する方。
  • かぜなどの急性感染症にかかっている方。

その他、舌下免疫療法をしてはいけない時は、

  • 喘息発作や咳などの喘息の症状があるとき。
  • 口の中のかゆみなどの症状がひどいとき。
  • 歯を抜いた後など、口の中の手術、傷や炎症があるとき。
  • かぜや体調が悪いとき。
  • 舌下投与と長期に中断した後、再開するとき。

*高血圧の方で薬を服用されている方は薬を変更する必要がございます。医師にご相談ください。

Q : 他の薬の併用はしてもいいのですか?

A : 症状がでたら適切にお薬を使ってください。
舌下免疫療法は、併用薬の量を少なくして症状を軽減する治療と考えられており、全ての方が薬を飲まなくてすむ治療とは考えられていません。
併用する薬によっては使用を控えていただく薬もございます。医療機関と相談の上、適切にお薬を使ってください。

Q : 治療費用はどのくらいかかりますか?

A : スギ花粉症の場合
舌下免疫の薬は他の花粉症治療薬に比べやや安い価格ですので、他の治療や薬の処方がなければ保険適応3割負担で1か月あたり2000~2500円程度の負担となります。
治療開始前の検査や1年に1回程度の検査の際には5000円程度の検査費負担がかかります。

A : ダニアレルギー性鼻炎の場合
保険適応3割負担の方で診療費と薬代を合わせて1か月3500円前後となります。

当院で舌下免疫療法での治療を希望される方へ

舌下免疫療法は治療開始する前に必ずアレルギー検査を行います。
安全に治療を行なうために行政の規定で、初回の舌下投与は当院内で行い、投与後30分以上院内で経過を観察する義務があります。
そのため、初回の舌下投与(通常では2回目の受診日)は9時半もしくは16時半にご来院していただきます。
初回の検査受診日や治療開始後2回目以降については診療時間内であればいつでもお越しいただけます。