耳鼻咽喉科、アレルギー科

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新型コロナウイルス感染症・後遺症

2020年の3月ごろから日本国内でも感染が広がった新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)ですが、何度かの大流行を経て、私たちの生活様式が一変するほどの影響が及ぼされました。2023年5月8日、新型コロナは感染症法上では「5類」に移行され、法律に基づく外出自粛などはなされなくなりました。しかし、その後も尾を引くように新型コロナの感染者は発生しています。

新型コロナウイルス感染症の症状

発熱、せき、頭痛、のどの痛み、鼻水、筋肉痛のような痛み、倦怠感など、一般的な風邪やインフルエンザなどとあまり変わらない症状であることが多いです。ただ、人によっては「味覚障害(味がしない、味がいつもと違う感じがする)」「嗅覚障害(においがしない)」が症状として出る場合があります。(風邪のような症状に味覚・嗅覚障害が加わると、新型コロナである可能性はかなり高いです。)

また、感染していても全く無症状である患者さんもいらっしゃる一方で、ご高齢の方やもともと基礎疾患をお持ちの方などでは、呼吸器症状(せきなど)が悪化し肺炎につながるケースも一部ございます。

新型コロナウイルス感染症の原因

新型コロナは、感染者がくしゃみ、せき、会話などをする際に出る「ウイルスを含む飛沫・エアロゾル」を吸い込むことなどが原因で感染・発症します。新型コロナを発症してから5日間は、他人に感染させるリスクが高いとされています。ただ、割合としては、新型コロナの感染者がほかの人に感染させる事例は全体の2割以下とされています。
※国立感染症研究所のデータより引用
感染防止には換気や手洗い、うがいが有効であることがわかっています。また、マスクの着用についても個人の判断にゆだねられることとなりました。しかし、以下のような場面ではマスクによる感染防止が効果的ですので、当院も引き続き不織布マスクの着用を推奨しています。

  • 医療機関の受診時
  • 高齢者施設等への訪問時
  • 通勤ラッシュ時など、非常に混雑した電車/バス等に乗車する場合
  • ご自身がすでに新型コロナの症状がおあり・もしくは陽性である場合(周囲への感染防止)
  • 同居家族に新型コロナ陽性者がいらっしゃる場合

新型コロナウイルス感染症の「後遺症」について

新型コロナに感染した方の中に、味覚障害や嗅覚障害、倦怠感、集中力の低下などの症状が、半年以上の長期にわたって続く患者さんがいらっしゃいます。
※おおむね療養終了後も3か月以上、上記のような症状が続いている場合、それを「罹患後症状」「後遺症」と呼びますが、 つらい症状がある場合は早めに受診をおすすめします。
現段階では、なぜ後遺症が残る方とそうでない方がいるのかなどの原因がわかっておらず、治療法も対症療法が中心となります。

[味覚障害]
一般的に、体内の亜鉛が不足すると味覚障害を引き起こしやすいと言われています。味覚障害に効果が期待されているビタミンB12の処方やサプリメント等の対応策をご提案いたします。

[嗅覚障害]
鼻の状態・副鼻腔の状態を診察・検査したうえで、必要に応じて点鼻薬やビタミンB12などを処方しています。

[そのほかの後遺症]
鼻の奥、のどの一番上の部分である「上咽頭」は、多数のリンパ球が入り込んでおり免疫器官としての役割を担っています。細菌やウイルスがここに侵入すると、上咽頭が炎症を起こすため、のどの痛みや痰などの症状が現れます。
さらに上咽頭付近には副交感神経(自律神経)の一種、迷走神経が多く通っています。そのため上咽頭に炎症が起こると、頭痛、めまい、倦怠感、睡眠障害、ブレインフォグなど自律神経にまつわる症状が引き起こされることがあります。
当院では、上咽頭を診察し炎症があった場合、その部分に直接塩化亜鉛液を塗って治療する「Bスポット療法」をご提案しておりますが、国のガイドライン等にも掲載されていません。そのため、現段階ではあくまで補助的な治療法として捉えていただければと思います。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大時期においては、院内での感染対策の観点からBスポット療法の実施を中止する場合がありますのでご了承ください。
味がしない、においがしないなど、長引く新型コロナ後遺症にお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。